ガイトンの生理学から、グルカゴン

私は最近、グルカゴンに夢中(熱中病)です。

ガイトンの生理学から、グルカゴンについて一部転載します。
残りは後日また追記します。

グルカゴンとその機能

グルカゴンは血糖が低下したときに、ランゲルハンス島のα細胞から分泌されるホルモンであり、インスリンの持つ作用と正反対のいくつかの作用を持っている。
これらの機能のうちもっとも重要なものは血糖濃度を上昇させることで、この作用はインスリンの作用とは正確に正反対である。
インスリンと同様にグルカゴンは大きなポリペプチドである。
その分子量は3,485で、29個のアミノ酸鎖からなる。
純化したグルカゴンを動物に注射すると強力な高血糖作用が起きる。
わずか1μg/kgのグルカゴンはおよそ20分血糖濃度を20mg/100ml上昇(20%の上昇)させる。
このため、グルカゴンは高血糖ホルモンとも呼ばれる。

グルコース代謝への作用

グルカゴンのグルコース代謝に対する主要な作用は、
(1)肝臓のグリコーゲンを分解すること(グリコーゲン分解)
(2)肝臓における糖新生

中略

アミノ酸はグルカゴンの分泌を刺激する。
これはアミノ酸がインスリン分泌を刺激するのと同じ作用である。
このように、この場合は、グルカゴンとインスリンの反応は逆ではない。
グルカゴン分泌に対するアミノ酸による刺激の重要性はグルカゴンがアミノ酸をグルコースに迅速に変換することで、組織に利用できるグルコースをより多くすることである。

運動はグルカゴン分泌を刺激する:疲労困憊に至る運動では、グルカゴンの血中濃度はしばしば4~5倍に上昇する。
血中グルコース濃度は必ずしも低下しないので、何がこれをおこさせるかは明らかでない。
グルカゴンの有益な作用は血中グルコースの低下を防ぐことである。
運動におけるグルカゴン分泌を増加させるかもしれない因子の1つは、循環血中のアミノ酸の増加である。
その他の因子として、ランゲルハンス島のβアドレナリン作動性刺激もまた役割を果たすかもしれない。

過去に投稿したグルカゴン関連記事です。
カテゴリー、グルカゴンから
http://wp-ostinato.eek.jp/wp/category/%e3%82%b0%e3%83%ab%e3%82%ab%e3%82%b4%e3%83%b3/

狩猟採集(肉食)だった我々人類の祖先は

狩猟採集(肉食)だった我々人類の祖先は、最低必要とするブドウ糖を確保するため、タンパク質を摂取した場合でも、バックアップシステム(バックアップ機能)としてグルカゴン分泌を直接刺激してグルカゴンを作り出していたのではないでしょうか。

グルカゴンは、同じくバックアップシステム(バックアップ機能)を持つエピネフリンとは違い、アミノ酸がグルカゴン分泌を直接刺激して作られ、
そして同時に、アミノ酸がインスリン分泌を直接刺激することによって、グルカゴンに相当するインスリンが作られ、高血糖や低血糖を防いでいるのだと思いますがいかがでしょうか。

インスリンとグルカゴンそしてタンパク質

インスリンとグルカゴン

江部先生こんにちは

糖質制限でインスリンをコントロールするという迷信
https://athletebody.jp/2016/04/05/insulin-myth-1/
このサイトの記事に対する、江部先生のブログへのコメントや質問についてgoogleで検索してみました。

2011年02月10日 (木)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-1548.html
2016年04月06日 (水)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-3753.html
2016年04月07日 (木)
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-3754.html

一部です。

今回も同じサイトに関する質問やコメントでした。

2017年08月03日 (木) の記事に対するS. N. F. さんのコメントの中で紹介されていた、たがしゅう先生のサイト「ササミ負荷試験」を拝見しました。
情報有難うございます。

ササミ負荷試験」
http://tagashuu.blog.fc2.com/blog-entry-1030.html

ササミ負荷試験

検査結果

実測血糖(mg/dL)  実測3ヒドロキシ酪酸値(μmol/L)
食前      88       556
30分後     91       367
60分後     106       210
120分後    96       111
180分後    96       80
240分後    92       232
300分後    85       536
360分後    82       597
(血糖基準値:70~109mg/dL 3-ヒドロキシ酪酸基準値:85μmol/L以下 )

インスリン値(μU/mL)  グルカゴン値(pg/mL)
食前      5.3       165
30分後     9.4       185
60分後     37.2      265
120分後    21.3       259
180分後    10.4       213
240分後    7.9       173
300分後    5.7       163
360分後    4.5       160
(インスリン基準値:1.7~10.4μU/mL グルカゴン基準値:70~174pg/mL)

上記の中でグルカゴン値の変化が参考になります。

これまではタンパク質摂取後のインスリン値の上昇が焦点となっていたようです。
そして、インスリン値の上昇に伴うグルカゴンの分泌。
これにより、互いの効果が相殺され極端な低血糖や高血糖にならないこと。

糖質制限食パーフェクトガイドp169「アミノ酸の中で、ロイシン、アルギニン、リジンはインスリンを分泌させます。・・・・・・
低血糖にならないのは、同時にインスリン拮抗ホルモンのグルカゴン(血統上昇作用あり)も分泌されて、効果が相殺されるからです。」

これには少し疑問を感じていました。

日本大学医学部 内科学科
糖尿病代謝内科学分野
http://www.med.nihon-u.ac.jp/department/dmet/research/subject_dpp-4.html

一部抜粋

〈※高蛋白食では健常者と糖尿病患者のいずれにおいても、血漿グルカゴン濃度は上昇します6, 7)。
それはアミノ酸がグルカゴン分泌を直接刺激するからです。
6)   Ahmed M et al., Am J Clin Nutr. 1980; 33: 1917-24.
7)   Kawai K et al., Endocrinol Jpn. 1987; 34: 745-53.〉

私には、タンパク質摂取によるインスリン分泌により、それに伴いグルカゴンも分泌されるのではなく、アミノ酸がグルカゴン分泌を直接刺激することによりグルカゴンが分泌され、グルカゴンに相当するインスリンが分泌されると考えるのが自然のように思います。
アミノ酸(ロイシン、アルギニン、リジン(インクㇾチンが関与))が直接刺激してインスリンを分泌するのだとしても、グルカゴンが深く関与しているのだと思いますがいかがでしょうか。

●Ⅰ型糖尿病患者のタンパク質摂取による血糖値上昇(バーンスタイン医師・1.94/g)
Ⅰ型糖尿病患者にはグルカゴンに相当するインスリン分泌能がない。

●グルカゴン負荷試験
「グルカゴンは重症低血糖の治療に用いられグリコーゲン分解の促進などにより一過性に血糖値を上昇させる一方、インスリン分泌を直接刺激する作用がある。グルカゴン負荷試験はこの作用を利用して、インスリン分泌予備能を調べる負荷試験として広く行われている。」
糖尿病専門医研修ガイドブックp132

2017/08/05(Sat) 19:03 | URL | オスティナート | 【編集

Re: インスリンとグルカゴン

オスティナート さん

コメント、ありがとうございます。

私も、アミノ酸が摂取が直接、グルカゴン分泌を促すと思います。

そして、アミノ酸摂取が直接、インスリン分泌を促すと思います。

タンパク質(アミノ酸)とインスリン、グルカゴン、血糖値については、少し考察して
記事にしたいと思います。

2017/08/05(Sat) 19:32 | URL | ドクター江部 | 【編集

追記

グルカゴン分泌に対するアミノ酸による刺激の重要性

江部先生こんばんは

今回の記事
≪「グルカゴン分泌>インスリン分泌」のタイプで、
タンパク質摂取もあるていど、血糖値を上昇させるのだと思います。≫
について

ガイトン生理学 原著第11版 p1030から

【アミノ酸はグルカゴンの分泌を刺激する。

これはアミノ酸がインスリン分泌を刺激するのと同じ作用である。
このように、この場合は、グルカゴンとインスリンの反応は逆ではない。

グルカゴン分泌に対するアミノ酸による刺激の重要性はグルカゴンがアミノ酸をグルコースに迅速に変換することで、組織に利用できるグルコースをより多くすることである。】

ここまでがガイトンの生理学です。

ガイトンの生理学によると、アミノ酸のグルカゴン刺激の目的は、(インスリン作用があったとしても、)組織に利用できるグルコース多くすること、
つまり血中グルコース濃度を上げるのが目的のように思えます。

私の仮説です。

狩猟採集(肉食)だった我々人類の祖先は、最低必要とするブドウ糖を確保するため、タンパク質を摂取した場合でも、バックアップシステム(バックアップ機能)としてグルカゴン分泌を直接刺激し、アミノ酸をグルコースに迅速に変換していたのではないでしょうか。

同時に、アミノ酸がインスリン分泌を直接刺激することによって、インスリンがグルカゴンに作用し、高血糖を防いでいるのだとしても、
当然ある程度の血中グルコース濃度の上昇があるのではないでしょうか。

2017/11/04(Sat) 18:05 | URL | オスティナート | 【編集】

Re: グルカゴン分泌に対するアミノ酸による刺激の重要性

オスティナート さん

私も同感です。

「グルカゴン分泌>インスリン分泌」のタイプが、圧倒的に多いので
こちらが人類の主流と思います。

狩猟・採集時代のご先祖は、常に低血糖対策に余念がなかったのであって、
高血糖対策は、ほとんど必要なかったので、こうなったのだと思います。

アミノ酸摂取により、グルカゴンが分泌され、
肝臓や腎臓で<アミノ酸、乳酸、グリセロール>からブドウ糖が新生されて、
血糖値維持の一貫を担っていたのでしょう。

2017/11/04(Sat) 19:18 | URL | ドクター江部 | 【編集】

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