消化酵素、グリコシダーゼとグルコシダーゼ

≪マルターゼ、スクラーゼ、グルコアミラーゼなどの酵素を総称して、α-グルコシダーゼと呼びます。この、α-グルコシダーゼの働きを阻害することにより、腸管からの糖質の分解・吸収を遅延させて、
食後高血糖を抑制するお薬が、『α-グルコシダーゼ阻害薬』(グルコバイ、ベイスン、セイブル)です。≫
について、前から疑問に思っていましたので投稿いたします。

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https://pharmacista.jp/contents/skillup/academic_info/diabetes/2286/

食後の血糖値上昇を抑えるαグルコシダーゼ阻害薬がボグリボース(商品名:ベイスン)です。
ボグリボースの作用機序、服薬指導のポイントについてまとめてみました。

作用機序(セイブル・グルコバイとの違い・比較)

ボグリボース(ベイスン)はグルコアミラーゼ、マルターゼ、イソマルターゼ、スクラーゼといったαグリコシダーゼを阻害することで、でんぷんやスクロースがグルコースに分解されるのを防ぎ、血糖値の上昇を抑えます。

ボグリボース(ベイスン)と同じαグルコシダーゼ阻害薬(αGI)にミグリトール(商品名:セイブル)やアカルボース(商品名:グルコバイ)があります。

アカルボースに特有の作用に唾液・膵液中のαアミラーゼ阻害があり、ミグリトールにはラクトースやトレハロースの分解を抑える作用があります。】

【日本大百科全書(ニッポニカ)の解説
グリコシダーゼ
https://kotobank.jp/word/%E3%82%B0%E3%83%AA%E3%82%B3%E3%82%B7%E3%83%80%E3%83%BC%E3%82%BC-56761

配糖体あるいはオリゴ糖(少糖)のグリコシド結合を加水分解する酵素の総称。グリコシドヒドラーゼともいう。多糖のグリコシド結合を加水分解する酵素(アミラーゼ、セルラーゼなど)とは区別されるが、その境界は明確ではない。国際生化学連合(現在は国際生化学・分子生物学連合)の酵素委員会が制定した酵素の分類による「EC3.2.グリコシル化合物に作用する酵素群」に属す。

グリコシド結合とは単糖のアノマー性ヒドロキシ基(単糖が環状構造を形成するときにできたヒドロキシ基のこと)の水素が他の化合物と置換してできる結合のことである。配糖体とは非糖物質に糖がグリコシド結合したものである。オリゴ糖とは単糖が2~10個グリコシド結合したものである。

グリコシダーゼにはα(アルファ)-グリコシダーゼとβ(ベータ)-グリコシダーゼがある。
糖のアノマー性ヒドロキシ基は他のヒドロキシ基との位置関係からαとβの2種類に区別される。
単糖が6員環(炭素5個と酸素1個からなる環。ブドウ糖のようなアルデヒド基をもつ六炭糖が環状構造を形成するときに形成される。6員環状の糖をピラノースと総称する)を形成した場合、6位(糖の炭素にアルデヒド基の方から順に番号をつけて6番目の炭素のこと)のCH2OHと、環面に対してトランス(反対側の意味)配位のアノマー性ヒドロキシ基をα-アノマー、シス(同じ側の意味)配位のものをβ-アノマーとして区別する。α-およびβ-アノマー性ヒドロキシ基が関与した結合を、それぞれα-グリコシド結合およびβ-グリコシド結合とよぶ。グリコシダーゼはこの立体配位を厳密に区別する。酵素名には分解できるグリコシド結合のアノマー配位を併記する。

また、オリゴ糖を加水分解するグリコシダーゼは内部のグリコシド結合を分解するエンド型と、糖鎖の非還元末端のみに作用するエキソ型に大別される。

グリコシダーゼは自然界に広く存在し、基質名にちなんだ名が別名として広く用いられている。
たとえば、
スクラーゼ(スクロースすなわちショ糖を加水分解する。系統名はSucroseα-D-glucohydrolase。EC3.2.1.48)、
マルターゼ(マルトースすなわち麦芽糖を分解する。系統名はα-D-Glucoside glucohydrolase。EC3.2.1.20)、
ラクターゼ(ラクトースすなわち乳糖を分解する。系統名はβ-D-Galactoside glucohydrolase。EC3.2.1.23)など。

グリコ-、glyco-は糖一般をグルコ-、gluco-はグルコースすなわちブドウ糖を意味する。

グリコシダーゼの研究には江上不二夫(えがみふじお)らのグループの寄与が大きい。[徳久幸子]】

ストライヤー生化学から
http://wp-ostinato.eek.jp/wp/%e4%ba%8c%e7%b3%96%e9%a1%9e%e3%83%bb%e5%a4%9a%e7%b3%96%e9%a1%9e%e3%81%a8%e6%b6%88%e5%8c%96%e9%85%b5%e7%b4%a0/

グルコースは食事の炭水化物から産生される

私たちは、一般に、食事において多量のデンプンと少量のグリコーゲンを摂取する。
これらの炭水化物複合体は、腸管からの吸収と血中での輸送のために、より単純な炭水化物へと変換させる必要がある。
デンプンとグリコーゲンは、その大部分が膵臓の酵素であるα-アミラーゼ(α-amylase)によって、またその一部は唾液のα-アミラーゼによって消化される。
アミラーゼはデンプンとグリコーゲンのα1→4結合を切断するが、それらのα1→6結合を切断しない。
その代謝物は、二糖類または三糖類の、マルトース(麦芽糖・二糖類)と、マルトトリオース(三糖類)である。
α1→6結合をもつため消化されないそれらの物質は、限界デキストリン(limit dextrin)と呼ばれる。
マルターゼ(maltase)はマルトースを2分子のグルコースに切断するが、一方、α-グルコシダーゼ(α-giucosidaase)は、アミラーゼによる消化を免れたマルトトリオ―スと他のオリゴ糖を消化する。
α-デキストリナーゼ(α-dextrinase)は、限界デキストリンをさらに消化する。
マルターゼとαグルコシダーゼは、腸管細胞の表面に局在する。
野菜に由来するスクロース(ショ糖)をフルクトース(果糖)とグルコースに分解するスクラーゼ(sucrase)も同様である。
ラクターゼは(lactase)は、乳糖のラクトースをグルコースとガラクトースに分解するのに重要な酵素である。単糖類は腸管壁細胞に輸送され、さらにそこから血中に輸送される。
ここまでが、ストライヤーの生化学 第7版 p413からの抜粋です。

グリコシダーゼとグルコシダーゼについて
Wikipediaを、まとめてみました。

●グリコシダーゼは、グルコースを含めた糖全般のグリコシド結合を分解する酵素の総称である。
グルコシダーゼは、グルコースとのグリコシド結合を分解する酵素の個別名である。(αグルコシダーゼマルターゼ(マルターゼはαグルコシダーゼと同義語))

●グリコシダーゼは通常、作用する基質に基づいて命名される。例えば、グルコシド結合を加水分解する酵素はグルコシダーゼ、キシロースのホモポリマーであるキシランを分解する酵素はキシラナーゼ(xylanase)と呼ばれる。
他にも、ラクターゼ、アミラーゼ、キチナーゼ、スクラーゼ、マルターゼ、ノイラミニダーゼ、インベルターゼ、ヒアルロニダーゼ、リゾチームなどがある。

結論
【グリコシダーゼは、グルコースを含めた糖全般のグリコシド結合を分解する酵素の総称である。
そしてαグリコシダーゼを阻害する薬剤名が αグルコシダーゼ阻害薬(グルコバイ、ベイスン、セイブル)である。】

追記

Re: グリコシダーゼとグルコシダーゼについて

オスティナート さん

情報をありがとうございます。

浅学にして、グリコシダーゼというものを知りませんでした。
医学部の教科書でも、αグルコシダーゼ阻害薬の話はありますが、
グリコシターゼに関しては、全くでてきません。

オスティナートさんの結論でいいのだと思います。

この件に関しては素人の私には
以下のウィキペディアの記載が、わかりやすいと思いました。

ウィキペディア
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%83%AB%E3%82%B3%E3%82%B7%E3%83%80%E3%83%BC%E3%82%BC

グルコシダーゼ
グルコシダーゼ(glucosidase)は、グリコシダーゼ(glycosidase)のうち、グルコースとのグリコシド結合を加水分解する酵素である。α-グルコシダーゼとβ-グルコシダーゼがある。
グリコシダーゼは、グルコースを含めた糖全般とのグリコシド結合を分解する酵素の総称であり、グルコシダーゼは、グルコースとのグリコシド結合を分解する酵素の個別名である。

2017/11/11(Sat) 19:49 | URL | ドクター江部 | 【編集
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